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名前の幸せ

今日改めて自分の名前を付けてもらった幸せを感じました。 お会いした患者さんからたまたま頂いた言葉がきっかけでした。 「幸枝ってゆきえと読むんでしょ?いい名前よね!亡くなった大正生まれの母と同じ名前なの。とっても優しくて大好きだった母を思い出すわ。この名前が大好きで息子も幸を一文字もらって名前を付けたのよ。若い人では珍しい名前だけど会えてすごく嬉しい!」 そういわれて泣きそうなほど嬉しかったです。名前を付けてくれた大好きな母もこの字が好きだと言っていたっけ。幸枝の「え」は江でも絵でも恵でもなく枝という字を絶対付けたかったと言っていたのを当時は聞き流してしまいましたが、今ではちゃんと理由も聞いておけばよかったと思います。 有難いことに時折、この患者さんのように名前を褒めてくださる方がいらっしゃいます。 幸せが枝のように広がるとてもいい名前だと言われたこともありました。 さちえと読み間違えられることが多く、昭和の時代みたいで古臭いと言われたこともありましたが、私は母が考えてずっと温めて付けてくれた名前が大好きです。 名前は産まれてくる子を待ち望み、親の想いを込めてつけられることがほとんどだと思います。 勉強会でお会いした鍼灸師の先生に、先生が目指すところは?と聞かれたことがありました。他の先生方は若手の育成に力を入れる、在宅医療の現場で鍼灸師の活躍の場を広げていきたいなど具体的で建設的な意見が返ってくるなか、私は人の役に立つというなんとも幼稚で漠然とした答えをしてしまいました。 その意味は私が関わる周りの方の役に立てることが幸せで幸せの枝を広げるということです。自分はまだ未熟で小枝なので小鳥くらいしか羽を休ませることができません。いずれは大きな木になり大きな鳥もたくさんの鳥が羽を休め、木陰では皆が涼んだり雨宿りができるような枝を広げたいと思っています。 両親、ご先祖様はもちろん周りの人がいて自分が生かされているというありがたみを忘れずに勉強を続け、治療と癒しという枝を広げていきたいと思います!

痛みの記憶

多くの人が抱える痛み。人によって原因は様々で治療薬も多様化してきました。 ある日の外来のひとコマ。 先生  「Aさんの検査の結果は何も異常がなかったよ。脳神経外科も検査は異常なしだし、整形外科的な所見もないし、血液検査でも内科的な異常はない。からしてAさんは健康ということです。」 (Aさんは足を中心とした体の痛みと痺れで5年も悩んでいるそうで来院されました。) Aさん  「じゃあなんで私の足は痺れて痛いんですか?5年も苦しんでいて夜も眠れない程なのに。」 先生  「 脳が誤作動 をしているんですよ。痛みを生むきっかけはあったかも知れないけれど、体は元気になったのに脳が痛みの記憶で今もそう感じさせていると考えます。理由はAさんが問題なく日常生活をおくれていること、考えうるあらゆる検査でも異常がないことです。」 (Aさんは痛みが良くなると言われることは、整体、マッサージ、漢方、ヨガ、体操、ダンスなど色々試してきたそうで今もヨガとダンスと体操は続けているそうです。痛み止めや漢方薬など薬はほとんど効果がなく、家族や親戚、友人などから色々な情報が集まり、悪い病気ではないかと心配が膨らむ日々のようです。) Aさん  「整体では骨が曲がってると言われました。それが原因では?」 先生 「レントゲンもMRIも異常なしです。多少の歪みは誰にでもありますし、Aさんの場合はそれが原因とは考えにくいです。現に骨が原因だとしたらヨガやダンスは痛くてできません。原因がないので痛み止めが効かないのも証拠といえます。」 Aさん  「じゃあ、私はどうすればいいんですか?」 先生  「痛みを理解して脳の誤作動を少しずつ修正していくことです。今のAさんの脳は痛みのことでいっぱいです。しかし、ヨガやダンスなど体を動かしたり楽しいことをしている時は気が紛れて痛みを感じなくなる。また夜にじっとして考えると痛みのことで頭がいっぱいになり眠れなくなる。修正するには体を動かしたり楽しいことをたくさんして、痛みの記憶を嬉しい、楽しい記憶で置き換えていくことです。それには周りの方の情報も不安を大きくし妨げになることがあるのであまり聞かないことです。Aさんは健康なので自分の体を信じて自信をもって元気に楽しく過ごすよう心掛けて下さい。薬もないと不安であれば処方しますが今のAさんには必要ない

夏の養生

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夏の養生 夏バテ は皆さんご存知のように夏の暑さに負けて起こる倦怠感や食欲不振などの不調です。暑さにより不眠等で体力が低下するせいもありますが、多くは冷たいものを摂り過ぎ胃腸が冷えて機能が低下することが最大の原因です。 江戸時代の庶民の為に書かれた「養生訓」という本にも 温かいものを食べ冷たいものを避ける ように、夏は特に注意が必要なことが書かれています。 現代は冷蔵庫やエアコンの普及でこの養生がかなり難しいものになっています。職場の冷房が強すぎて冷えてしまうので電気毛布が必須という患者さんもいらっしゃいます。 東洋医学において 胃腸の機能 と深い関りがあるのが「脾」という臓です。脾は湿を嫌うとされ、また冷えると正常に機能できなくなります。冷たくて水分が多い食事、冷たい麺類、生野菜、冷やした果物、アイスなどまさに夏に多く摂りがちな食事です。 じゃあ何を食べたらいいの?と聞かれますが、体を冷やさないもの、よく噛んで食べるものです。 冷たいものが続いたら日に1度は温かいメニューを入れたり、食事は飲み物で流し込まずよく噛んで食べます。唾液と混ざることで消化が良くなり胃腸の負担が軽減します。 中でも 苦 みのあるものは夏バテに有効です。身体の余分な熱を冷まし、食欲を促進しさせ、湿を捌く作用があります。 例えば苦瓜、菊花、紫蘇、緑茶、麦茶、コーヒーなどです。 カフェインが気になる方はタンポポコーヒーやハブ茶、菊花茶もおすすめです。 9月9日の重陽の節句に菊の花を食べるというのも何か関係があるような・・・。面白いです。 胃腸の水浸しと冷えを防ぐことは、夏だけではなくて秋口からの体調に大きな影響があります。 「養生訓」にも夏に冷たいものを摂り過ぎれば秋には必ず瘧痢を病むと書いてあります。瘧痢とは発熱や下痢の症状を起こす感染症や食中毒のことで、真夏より秋口に増えてくるのは夏の不摂生が原因で胃腸機能の低下や免疫力の低下が関係していると考えられます。 自分で水浸しと冷えを探すには?? 鏡に向かいあっかんべーっとしてみて下さい。舌の側面に歯の跡がついていたり、表面の白い苔が厚くなっていたら水浸し注意報です。 お腹のおへそ周りを触ってみて他の部分より冷たい場所が見つかったら冷え注意報です。 見つかった人は養生とセルフケアをおすすめしま