メンタルヘルスと東洋医学

先日、7000人もの社員を抱える大きな企業の産業医をしていらっしゃる先生のご講演を拝聴する機会がありました。

昨年12月に厚生労働省で50人以上の事業所でストレスチェックが義務化されました。本人のストレス状況について気付きを促し個人のメンタルヘルス不調のリスク軽減と職場環境の改善につなげる取り組みとのことです。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/

このテストで規定以上のストレス状態との診断をされる人の割合の国の想定は10%程度(企業により差がある)。先生が産業医を務める企業でも年齢でバラつきはあるもののほぼ想定内だそうです。ストレス状態にあると判定された人で希望があれば医師の診察も受けられるということでしたが、7000人の企業で実際に受診したのは2人。驚きの結果でした。

以前、薬局に処方された薬をもらいに来た方に聞かれたことを思い出しました。
「今日、うつ病と診断され休業するよう診断書をもらいました。この薬を飲めば会社に行けますか?やっぱり休まないといけないですか?」
驚きと切ない思いになったのを覚えています。
今は車でいえばオーバーヒートしてるんです。今の状態を良くするために休んだ方がいいって先生が診断したんですよ。お薬はそのサポートでしかないので休んだ方がいいと伝えるととても困ったようでした。

自分の「こころ」と「からだ」の状態に関心を持って日々の変化に気付くこと。

できていますか?

男女問わずとても必要です。体の不調の原因をストレスと片付けるのは良くないですが、SNSをはじめ対人関係も多様化している現代ではストレスも複雑多重化しているように思います。
特に女性にとっては活躍の場が広がる反面、月経、妊娠、出産、更年期など男性と同じ条件、環境で長く働き続けるのは困難に感じる場面も少なくはありません。
女性のホルモンバランスの変化や女性特有の疾患も含めて心と身体の不調を早期に発見し対処していくことが社会にとっても重要な課題となります。

ではストレスチェックでストレス状態にあると通知が来たら、体の不調を感じたら?
すぐに病院へ行って検査などをしても検査値に異常が見つからないことが多いです。
放っておく?我慢する?それでは心と体のサインを無視することになります。

「未病治」CMなどで耳にしたことがあると思いますが、この心と体のサインにアプローチするのが東洋医学の得意とするところです。インターネットのアンケート調査でおよそ7割の女性がセルフケアに漢方を取り入れたことがあるとの結果もあり、関心の高まりを感じます。

漢方や鍼灸を含めた東洋医学のいいところは心身一如として全体で診て聴いて治療していくところです。不調以外にも自分でも気付いていない変調に気付き自分の体を知ることにつながります。
女性の体の特性を認め、自分の心と身体に耳を傾けることが、日々を健やかに長く仕事を続けていけるカギになるのです。

困ったときに東洋医学、漢方、鍼灸という選択肢があることをもっと広く知ってほしい、広めていく使命感を感じました。